α7 S with CarlZeiss S-Planar 60mm F2.8

はじめに

CarlZeiss S-Planar 60mm F2.8は、日本のヤシカ(現京セラ)用のレンズですが、こちらはドイツのカールツァイスが設計・製造したもので、レンズにも『Made in Germany』と書かれています。Makro Planar 60mm F2.8の前身にあたるマクロレンズで、Sは特殊を意味するドイツ語『Sonder』からきているそうです。

写りについては、初めてのマクロレンズということもあり面白いの一言に尽きます。マクロレンズと言えば少し接写に強いレンズくらいに思っていたのですが、接写もあるレベルを超えると今まで見たことのない世界が見えてくるのです。魚眼レンズのFish Eye Takumar 17mm F4と同じくイロモノですが、一度は試す価値のあるレンズだと思います。

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CarlZeiss S-Planar 60mm F2.8

カールツァイスは1971年にカメラ製造から撤退しましたが、日本のヤシカ(現京セラ)がカールツァイスのカメラブランド『コンタックス』を引き継ぎカメラの製造を開始しました。このカメラ向けにカールツァイスが提供したレンズの一つが、今回のS-Planar 60mm F2.8です。1978年発売のマクロレンズで、今のモデルで言えばMakro-Planarにあたります。

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S-Planar 60mm F2.8は等倍(被写体が同じ大きさでフイルムに写る)まで寄れるマクロレンズで、スペックは素晴らしいのですが、その分レンズはかなり大きいです。しかも、全郡繰り出し方式(レンズ全体を動かしてピントを合わせる)のため、画質面では有利だそうですが、繰り出すと下の写真のように巨大になるので屋外撮影は大変です。

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S-Planar 60mm F2.8はいくつかのタイプがありますが大きく分けると、内面反射を抑える複雑な機構を持った初期型と、この機構を廃した中期型、マウント部分の材質が変わって銀色になった(前2つは黒)後期型に分けられます。私の購入したのは後期型で、続くMakro Planar 60mm F2.8は、日本製になった以外は後期型とほぼ同じ構成らしいです。

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このレンズはコンタックスヤシカマウントで、私はPlanar 50mm F1.4 の際に購入したKernel社製の格安マウントアダプタを使用しています。

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使った印象

マクロレンズが初めてだったのでその面白い世界にドップリで、最初のころはマクロ撮影ばかりしていました。普段見ないような視点を拡大して切り取ると、プラナーらしい柔らかいボケと相まって、目の前にある普通なモノがとても幻想的な写真に仕上がります。

写りとしてはオールドレンズとしては新しいこともあり、最新のレンズと比較してもそれほど遜色ないレベルの解像感とコントラストの高い描写だと感じました。逆にオールドレンズらしい粗はあまり感じられず、むしろ実用的な現役のマクロレンズとして使いたいレンズです。

ただ、非常に大きく重いので使い勝手はイマイチです。しかもマクロ撮影のように正確なピント合わせが必要なときにかぎってレンズが最大まで伸びていて、大抵は無理な姿勢になっているので、手持ちだと腕や股がプルプルしてきます。レンズの性能としては標準レンズとして普通に使えるのですが、あまり積極的に使おうとは思えません。

F値は2.8ですがマクロ撮影時は被写体深度が思ったより浅く、繰り出し式でピント合わせがやりずらいこともあり、私は適当にあわせて後はカメラの方を前後させてピントを合わせています。スペックでは最短が24cmとなっていますが、時々レンズと周囲のものが接触したりしているので、たぶん数センチのところまで寄れていると思います。

マクロ撮影ではどのみちマニュアルでピントを合わせることがほとんどでしょうから、その部分でのデメリットはありません。カールツァイス自身が設計も製造もしているレンズで、価格も比較的手ごろなので、実用的なマクロレンズとしてオススメなレンズではないでしょうか。

α7S + S-Planar 60mm F2.8 ISO2000 F2.8 1/60 +0.3 Vivid

作例

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