α7 S with CarlZeiss Sonnar 50mm F2.0

はじめに

CarlZeiss Sonnar 50mm F2.0はカールツァイスのコンタックス用標準レンズとして発売されたもので、今も続くゾナーブランドの最初のレンズです。α7シリーズの単焦点レンズにラインナップされているゾナーブランドですから、その元祖とも言うべきこのレンズが似合わないはずありませんよね。

写りについては、設計がかなり古いにも関わらず発色がよく解像感もあるので、実用的な写真に仕上がっていると思います。その分、オールドレンズらしさは控えめですが、コッテリとした独特の色味はしっかり残っていて、どことなく懐かしい気持ちにさせられます。ミラーレスの利点を生かせる、明るくコンパクトな使いやすいレンズだと思います。

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CarlZeiss Sonnar 50mm F2.0

Sonnar 50mm F2.0はカールツァイスの名設計者ルートヴィッヒ・ベルテレ氏が1931年に設計したレンズで、今日まで続くゾナーの最初のレンズです。ゾナータイプは空気の層が少ないレンズ構成が特徴で、これによりコントラストの高い描写を実現しました。ちなみに、ロシアのJupiter-8M 50mm F2は、このレンズをコピーしたものです。

コンパクトで優れた性能を持っているのですが、フランジバックを短くする必要があるため一眼レフカメラに向かず、フイルムの時代は望遠レンズ除いてゾナータイプはあまり使われていませんでした。そういった意味ではミラーレスのα7シリーズには最適なレンズと言えるかもしれません。

Sonnar 50mm F2.0は長い期間発売されていたため製造時期によってスペックが異なります。購入したレンズはCarl Zeiss JenaブランドですがT*コーティングされている戦後のタイプです。

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マウントはCONTAX C(オールドコンタクス)マウント内爪タイプで、このCONTAX Cマウントの内爪タイプはピントリングがカメラ側にあるのでマウントアダプタにピントリングを付ける必要があり、種類が少なく値段も非常に高価です。

私はJupiter-8M 50mm F2 の際に購入したKIPON社製のCRF-NEXというアダプタを使いました。33000円もする超高価なマウントアダプタでしたが、Sonnarを見越して買っておいて正解でした。Jupiterは取付け部分が非常に渋く、逆にSonnar 50mm F1.5は甘すぎたのですが、このレンズはちょうど良い具合でした。

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写りの印象

もともとJupiter-8M 50mm F2のいかにもノストラジックな描写を気に入ってオリジナルのこのレンズを購入したのですが、戦後のTコーティング付きともなると描写がかなりモダンな印象を受けました。もう少しヘッポコな写りを期待していた部分もあるのですが、どちらか言うとクセの少ない実用的な写りをしてくれます。

色味はSonnar 50mm F1.5と同じような濃くコッテリとした発色は健在で、コントラストが高いといわれるゾナータイプの本領発揮といったところでしょうか。ボケは繊細とは言い難いですが自然で落ち着くボケ方をするので気に入っています。逆光耐性は強いとは言えないものの、コーティングのおかげか、F1.5に比べかなり使いやすくなっています。

F2という無理のない明るさもあってF1.5に比べると開放でもそこそこ解像感があります。とはいえ、中央部でもくっきりシャープというほどではなく、周辺はやや乱れ気味です。それでも、全体的にバランスが良く、写真としての完成度が高いのは特筆すべきところです。周辺画質は絞ると多少改善しますが残るようです。

独特の色味ながら実用的な描写で、とても使いやすいレンズだと思います。その分、オールドレンズらしさは控えめですが、コンパクトで明るくミラーレスの利点を生かせるので、常用レンズに向いているかもしれません。開放でも解像感があり、自然なボケも魅力なので、せっかくならば積極的に開放を使っていきたいレンズです。

α7S + Sonnar 50mm F2.0 ISO100 F2.0 1/320 Vivid

作例

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