α7Sの写真をRAW現像してAVIFで書き出してiCloud写真に保存する(前編)

はじめに

先日、α7SのRAW現像についてちょこっと記事を書きましたが、本格的にRAW現像を取り入れるみることにしました。ただ、写真を一枚いち枚追い込んでいくぜ!みたいなことに目覚めたわけではなく、今あるα7Sの性能を引き出すというのが今回の目的です。

なぜRAW現像なのか?

昔のフイルムカメラはカメラ本体はただの箱で、写真の画質は装着するレンズやフイルムが左右します。語弊を恐れずに言えば、新しいカメラでも古いカメラでも、カメラ本体は写真の画質にはあまり影響しません。

しかし、デジタルカメラはフイルムの代わりとなるイメージセンサーと画像処理エンジンがカメラ本体に搭載されているため、カメラの性能がそのまま写真の画質に影響することになります。つまり、気が付くと新しいカメラをポチっているという恐ろしい現象が発生するわけです。

イメージセンサーは後からどうにもなりませんが、画像処理エンジンについてはRAWで記録するとほぼバイパスされるので、カメラに搭載された画像処理エンジンが古くても、最新のソフトを使ってRAW現像してあげれば、最新のカメラの画像処理エンジンに負けずとも劣らない写真が期待できるという寸法です。

また、イメージセンサーは性能の側面が大きいのに対して、画像処理エンジンは絵作りという好みの要素があり、メーカー間で特色がでるところでもあります。通常は好みの絵作りをするカメラを選ぶと思いますが、そうでない場合でも好みの絵作りをするソフトを選ぶことで自分好みの写真に仕上げることがでます。

ちなみに私の場合は、当時はフルサイズのミラーレスカメラが(超高級な)LeicaかSONYしかなかったのでSONYをチョイスしましたが、絵作りはPanasonicが好きだったので、今だったらLUMIX S5あたりを買っていたかもしれませんね。

α7Sはまだ戦える

α7Sは2014年の発売で1200万画素のExmor CMOSセンサーとBIONZ Xエンジンを搭載をしていますが、2015年に発売のα7S IIも同じイメージセンサーと画像処理エンジンの組み合わせになっています。発売時期が近いこともあり、性能的にはα7Sとα7S IIは大きく変わりません。

続くα7S IIIは2020年の発売で新たに裏面照射型のExmor R CMOSセンサーとBIONZ XRエンジンを搭載して大きく進化していますが、このイメージセンサーはクアッドベイヤータイプで、もともと4800万画素のイメージセンサーの4つのピクセルを1画素として扱うことで1200万画素を実現していると言われています。

  α7S α7S II α7S III
登場 2014 2015 2020
イメージセンサー Exmor CMOS Exmor R CMOS (裏面照射型)
画素数 約1200万画素
画像処理エンジン BIONZ X BIONZ XR
記事 14bit非圧縮RAW対応 クアッドベイヤーセンサー?

そもそも裏面照射型ですので単純な比較はできませんが、なんとなく最初から1200万画素専用で設計されたα7Sとα7S IIのExmor CMOSセンサーは良さそうな気がしてきませんか?してきますよね?どうでしょう、だいぶ、新しいカメラ欲しい欲求が収まってきたのではないでしょうか(笑)

そろそろJPEGをアップデートしよう

撮って出し派の方の多くは写真をJPEGで保存していると思いますが、iPhoneでは2015年発売のiPhone 6sからより高い圧縮率のファイルフォーマットであるHEIF(拡張子はheic)に対応しています。SONYも最新のα7S IIIなどはHEIFに対応しており保存形式として選ぶことができます。

JPEGは1992年頃(Windows 3.1の時代!)に登場した古い規格で、長らく標準として使われてきたことから汎用性が高いですが、古いので当然ですが性能面では最新のものに及びません。また、最近ではHEIFよりさらに新しいAVIFという規格も登場し、iOS&Mac OS/WindowsなどもAVIFへの対応が進んでいます。

ちなみに、HEIFとAVIFの違いですが、HEIFが高額なライセンス料と面倒な手続きが必要なのに対して、AVIFはライセンスフリーで対応ソフトやハードの開発がしやすいのが特長です。AVIFは後発なのでまだ対応ソフト・ハードが少ないですが、ソフトの対応は進んでおり、今後普及していくことが期待されています。

  JPEG HEIF AVIF
登場 1992年・古い 2015年・新しい 2019年・とても新しい
圧縮率 ふつう 高い 高い
可逆圧縮 ×
階調(最大) 8bit 16bit 16bit
対応機器 非常に多い 新しい機種に限られる PCやスマホくらい

JPEGはビデオCDのMPEG1と同じ時代のもので、動画であればDVDのMPEG2、Blu-rayのMPEG4/H.264といった感じに飛躍的に進歩してきています。動画はファイルが大きいので圧縮率が重要なのに対して、写真はそこまでではないとはいえ塵も積もれば山となって効いてきます。

圧縮率が高ければ、同じ画質ならば小さいファイルサイズで、同じファイルサイズならば高い画質で保存ができます。つまり、JPEGをHEIFやAVIFにすることで画質を損なわずにPCやスマホのストレージやクラウドの容量を節約できるというわけです。

もちろん、JPEGで写真を撮って後からHEIFやAVIFに変換することもできますが、1度JPEGで圧縮した写真を変換するので少なくとも元のJPEGよりも画質は低下してしまいます。しかし、RAWで撮ってHEIFやAVIFに変換するのであれば、カメラで撮って出しのJPEGと同等以上のクオリティが期待できるのです。

AVIFのすゝめ

JPEGより新しいフォーマットとしてiPhoneやα7S IIIなどでサポートされているHEIFがありますが、ライセンス料の問題などからかソフトの対応状況が良くありません。Appleだけはサポートに積極的ですが、Windowsの標準機能やPhotoshopではHEIFを開くことはできるのですが書き出しができません。

それに対して、AVIFは後発なので対応ソフトが少なかったのですが、最近はiOS&Mac OS/WindowsともにAVIFへの対応も進み、プラグインを使えばPhotoshopでAVIFを保存することもできます。Photoshopはバッチ保存もできますので、現像済みのRAW画像をまとめてAVIFに書き出すような使い方も可能になります。

性能面ではAVIFとHEIFは大きな違いはないようですが(若干AVIFの方が圧縮率は高いようです)、動画フォーマットのAV1とともにAVIFは将来性が期待できるフォーマットと言えます。

iPhoneとα7の写真を一緒にiCloud写真で管理する

iPhoneの写真と一緒に管理するのであればHEIFに揃えた方がスマートですが、iCloud写真ではAVIFもHEIFと同じように扱うことができるので、私はRAW現像した写真をAVIFで書き出してiCloudに保存、iPhoneやiPadで楽しんでいます。