なんでα7S?

はじめに

初のミラーレス一眼であるLUMIX G1が登場したことで、デジタルカメラで手軽にオールドレンズが扱えるようになり、じわじわとオールドレンズのブームがやって来ました。ここでは、なぜα7Sがオールドレンズを扱うのに向いているかをお話したいと思います。

ミラーレス一眼

レンズからフイルム(イメージセンサ)までの距離をフランジバックと言い、マウント毎に決められています。レンズの要求するフランジバックが、カメラのもつフランジバックより長い場合は間にアダプタを挟んで伸ばせば対応できますが、短い場合はどうにもなりません。

例えば、40mmのフランジバックをもつカメラがあって、そこに60mmのフランジバックが必要なレンズをつけたい場合は20mmのアダプタを間に挟んで調整すれば使うことができますが、20mmのフランジバックのレンズはカメラを削らないとつけられませんよね。

このため、カメラ側のフランジバックが短いミラーレス一眼は、フランジバックが短いレンジファインダー式カメラ用レンズも含めて、実に多くのレンズにアダプタを使って対応することができる特長を持つのです。

イメージセンサと画角

フイルム用のオールドレンズをミラーレス一眼で使う場合に問題になるのが画角です。マイクロフォーサーズでは2倍、APS-Cでも1.5倍になってしまうため、標準レンズが中望遠になってしまいますし、逆に標準レンズが欲しい場合は広角レンズを買う必要があるわけです。

厳密には画角が変わっているのではなく、単にイメージセンサ=写る面積が小さいので中央部を切り取ってトリミングしたようになってしまい、ズーム(画角が狭く)したような写真になるのです。原理で言えば、デジタルズームに近いかもしれません。

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なお、Speed Boosterなど画角を変えるアダプタも存在します。これはレンズアダプタにレンズを入れて画角を変える仕組みです。ただ、1段分明るくなるなどレンズの特性に影響があるのと、フランジバックが短いレンジファインダー用のレンズでは技術的に難しそうです。

というワケで、結局フイルムと同じサイズのイメージセンサを持つフルサイズのミラーレスまで堕ちてしまうわけです(笑)。なお、マイクロフォーサーズから始めた方は、中途半端にAPS-Cにステップアップなどせず、一気にフルサイズまで行った方が良いと思います。どうせフルサイズも買うことになるので。(経験者談)

画素数と裏面照射型のイメージセンサ

一般的にイメージセンサはフイルムに比べて光の入射角にシビアで、センサ面に垂直に光をあてる必要があります。デジタルカメラ用のレンズは最初からそうなるように設計されていますが、フイルムカメラ用レンズはそのような設計になっておらず、特に周辺(隅の方)では光の入射が斜めになる傾向があります。

このため、フイルムカメラ用レンズをデジタルカメラで使用すると周辺が暗くなったり解像度が低下したりします。APS-Cやマイクロフォーサーズは中央部分を切り取るので影響を受けにくいですが、フルサイズは周辺まで写るので顕著にその影響を受けてしまいます。

基本的にはどのイメージセンサでも当てはまりますが、以下のようなイメージセンサでは改善すると言われています。

  1. 画素数の少ないイメージセンサ … 一画素あたりの面積が大きいため
  2. 裏面照射型のイメージセンサ … 斜めの光を遮るセンサ表面の配線がないため
  3. 有機薄膜のイメージセンサ … センサが薄い分感光する部分が近いのため

ちなみに、私が購入した2015年では2.と3.のフルサイズミラーレス一眼は販売されていなかったので、1.のα7Sを選択しましたが、今では2.もあるので選択肢は広がっていると思います。