nVIDIA Geforce 8 Series

はじめに

Geforce 8800 GTX は2006年にGeforce 7800 GTX(その後継のGeforce 7950GT)の後継として発売されたグラフィックチップです。

開発コードネームはG80。次世代のDirectX 10.0 にハードウェアレベルで初めて対応した製品で、従来のピクセルシェーダとバーテックスシェーダを統合した『ストリーミングプロセッサ』を搭載しています。

写真

写真(チップは見えませんが Geforce 8500 GT )

主な仕様

スペック

チップ名 Geforce 8800 GTX 備考
グラフィックチップ Geforce 8800 GTX
コアクロック 575MHz
対応メモリ速度(最大) 900MHz
メモリの最大搭載量 768MB
対応スロット PCI-Express ブリッジチップでAGP/PCIも対応可能
DirectXの世代 DirectX 10.0
OpenGLの世代 Ver.2.1
ハードウェア T&L - ストリーミングプロセッサに統合
ピクセルシェーダ - ストリーミングプロセッサに統合
バーテックスシェーダ - ストリーミングプロセッサに統合
ストリーミングプロセッサ
プログラマブルシェーダ Ver 4.0
プロセスルール 90nm
動画再生支援機能 Pure Video HD
その他 -

特徴

Geforce 8 シリーズでは次世代のDirectX 10.0をハードウェアでサポートしているのが最大の特徴で、プログラマブルシェーダ の世代がVer.4.0 となっています。初のDirectX 10.0対応グラフィックチップで、ライバルが半年近く遅れて対応したためWindows Vistaが登場してから半年近くDirectX 10.0対応の唯一のグラフィックチップとなりました。

また、今まで処理内容に合わせてピクセルシェーダとバーテックスシェーダと呼ばれる別々のシェーダを実装していましたが、これを双方を処理できる『ストリーミングプロセッサ』に代えて、より汎用性を高めた設計となっています。簡単に言えば、ピクセルの操作が大量に発生した場合にバーテックスシェーダがヒマをしていても手伝うことができなかったのが、ストリーミングプロセッサに統合してしまえば効率良く処理できるというワケです。もっとも、個々に特化した方が処理能力自体は向上する傾向があるのでそれぞれ一長一短があります。

Geforce 8シリーズは、初めてCUDAに対応したグラフィックチップというのも非常に重要です。CUDAとは、上述の汎用性を生かして、グラフィックチップの処理能力をゲームなどのグラフィックだけでなく、もっと汎用的に利用するというためのAPIです。すでにCPUやチップセットの内蔵グラフィックでもソコソコの3Dグラフィックの機能があり、それ以上の強力な3Dグラフィック機能は使うユーザーが限られてしまうので、高い処理能力を3Dグラフィック以外のことに利用してもらうというのが狙いです。

CUDA自体はアプリケーションが対応しなければ意味がないので、このGeforce 8 シリーズの自体の評価にはつながりませんでしたが、ここで蒔いた種が徐々に花開いていくことになりました。

Geforce 8 シリーズは、Geforce 8800シリーズの他にもローエンドやミドルエンドのモデルが存在します。ローエンドモデルも含めてDirectX 10.0に対応しているのが特徴で、これによりすべての価格帯でDirectX 10.0を享受できるようになりました。

チップ名 市場 特徴
Geforce 8800 Ultra ハイエンド 8800 GTXの高クロック版
Geforce 8800 GTX ハイエンド -
Geforce 8800 GTS ハイエンド 8800 GTXのストリーミングプロセッサ数とメモリ帯域を制限
Geforce 8800 GT ハイエンド プロセスルールが65nmに、Pure Video 2対応
Geforce 8800 GS ハイエンド 8800 GTのストリーミングプロセッサ数とメモリ帯域を制限
Geforce 8600 GTS ミドルエンド -
Geforce 8600 GT ミドルエンド 8800 GTSのストリーミングプロセッサ数とメモリ帯域を制限
Geforce 8500 GT ローエンド -
Geforce 8400 GS ローエンド 8500GTのメモリ帯域を制限 (OEM向け)

※大まかな変更点で細かい変更点はほかにもあるかもしれません。

なお、Geforce 8 シリーズは、最初に登場したGeforce 8800 GTX/GTS と Ultra は90nmのプロセスルールで作られPure Video HD も第1世代ですが、後から登場した Geforce 8600GTS以下の製品は65nmのプロセスルールで作られ PureVideo HD も第2世代を搭載しているなど性能面で逆転している部分があります。Geforce 8800GT/GSはその後登場した8800ランクの製品で、スペック的にはGeforce8800 GTS以下のレンジにありますが、65nmのプロセスルールで作られ Pure Video HD も第2世代に対応した新しいコアを搭載しています。