Pentium

はじめに

Pentiumは1993年にi486(正確にはその改良版であるi486DX2)の後継として発売されたCPUです。

開発コードネームはP5で、データバスやスーパースケーラ・アーキテクチャによって同周波数のi486DX2よりも高速化しているのが特徴です。また、IntelのCPUの代名詞ともいえるPentiumの名をもった初代CPUでもあるCPUです。

写真

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主な仕様

Pentium

スペック

チップ名 Pentium
開発コードネーム P5
一次キャッシュ 16KB
二次キャッシュ -
FSB 60/66MHz
クロック 60/66MHz
パッケージ形状 PGA
対応スロット Socket4
コア電圧 5V
I/O電圧 5V
プロセスルール 0.8μ
ダイサイズ 294mm2
トランジスタ数 310万個
拡張命令 -
分類 CISC
その他 -

特徴

Pentiumプロセッサは、スーパースケーラ・アーキテクチャ(スパースカラー・アーキテクチャ)と呼ばれる構造をもっていてUパイプとVパイプの2本のパイプラインを搭載して2命令を同時に実行できるのが最大の特徴です。ただし、Uパイプは全ての演算が可能ですがVパイプではUパイプで演算中のものに依存しないもののみ演算可能となっていました。2本の5段のパイプラインでさらに高度な先読み機能を備えていました。このため、Pentiumはi486と比べて格段に処理能力が向上しています。

先読みとパイプラインの段について詳しくは『Column 01』参照してください。

CPUにはCISC=Complex Instruction Set ComputerとRISC=Reduced Instruction SetComputerという分類があり、高度で複雑な命令形態を実行できる(8086互換のx86命令を直接実行する)CISCプロセッサーと、単純な命令実行のみを実行する(内部でいったんもっと単純な命令に変換して演算する)RISCプロセッサーという分類になります。Pentiumの後継はPentiumPROでこのプロセッサーはRISC系に分類されるのでPentiumはIntel純正で最後のCISC系プロセッサーとなるのです。ただし、PentiumでもRISCの構造を部分的には採用しているのでCRISCとも呼ばれる中間的なCPUでした。

Pentiumは、8086から数えて第5世代のプロセッサーにあたります。i386→i486→ときたら次はi586となるでしょう?その期待を裏切ってP5はPentiumという名前になりました。Pentiumの語源はラテン語で5を表す接頭語のPenta-から来ているそうです。ところで、写真機で知られるペンタックスと呼ばれるブランドもこのPenta-から来ていて、一眼レフカメラのプリズムに初めて五角形プリズムを採用したことから来ているそうです。

Pentiumの後継としてPentium PROプロセッサが登場しますが、一般受けしなかったのでその後も長く一般ユーザー向けに出荷されていました。さらにマルチメディア用の拡張命令であるMMX=MultiMedia eXtensionを搭載したPentium with MMX Technology通称MMX Pentiumプロセッサも出荷されました。

ラインナップ

Pentiumは長く販売されていたこともあり幾つかの種類があります。

実際にPentiumとして人気があったのはP5の後継のP54C/P54CSでした。P5はプロセスルールが0.8μでしたが、トランジスタ数が多くダイサイズも大きくなってしまったので価格が高騰してしまいました。さらにすでに0.6μに微細化されたP54Cが登場することが知られていて、加えてP54Cとソケット形状が異なってしまうことが分かっていたのであまり売れなかったようです。これはPentium4の時も同じような現象がおこったのが記憶にあたらしいと思います(もっともPentium4の場合は性能の方にも問題があったのだが)。

チップ名 Pentium MMX Pentium
開発コードネーム P5 P54C P54CS P55C
一次キャッシュ 16KB 16KB 16KB 32KB
二次キャッシュ - - - -
FSB 60/66MHz 50/60/66MHz 60/66MHz 66MHz
クロック 60/66MHz 75/90/100/120MHz 133/166/200MHz
120/150MHz
クロック
パッケージ形状 PGA SPGA SPGA/PPGA PPGA
対応スロット Socket4 Socket5 Socket5/Socket7 Socket7
コア電圧 5V 3.3V 3.3V 2.8V
I/O電圧 5V 3.3V 3.3V 3.3V
プロセスルール 0.8μ 0.6μ 0.35μ 0.35μ
ダイサイズ 294mm2 163mm2 90mm2 140mm2
トランジスタ数 310万個 320万個 330万個 450万個
拡張命令 - - - MMX
分類 CISC CISC CISC CISC
その他 - Socket7にも搭載可能 - -

※この他、ノート用のプロセッサが別にある。

※デュアルの不具合を修正したプロセッサも別にある。