Apollo Pro 133A

はじめに

VIA Apollo Pro 133A は Apollo Pro 133 の改良版として1999年に登場した、サードパーティ用の PentiumII/III/Celeron向けチップセットです。

Apollo Pro 133A の最大の特徴は FSB 133MHz 、AGP 4X、UltraATA66 の当時の三大技術を全てサポートする点です。

当時 Intel が i820 チップセットの開発に手間取って、メインストリーム向けのチップセットがもはや老兵となった i440BX だったときに、上の三大技術をサポートして華々しく登場しました。発売当初は安定性と相性に難があり、またそれほど性能がよくなくi440BX に劣るなど散々に言われましたが、Intel が i820 、i815 と迷走を続ける中 徐々に性能と安定性を向上させて パワーユーザーや互換チップセット派に絶大な支持を得てることになり、一瞬ながらシェア50% を越えるに至りました。

主な仕様

VIA Apollo Pro 133A

スペック

チップ名 Apollo Pro 133A
ノーズブリッジ VT 82C694X
サウスブリッジ VT 82C596B (Mobile south) / VT 82686A/B (Super south)
対応CPU PentiumII/PentiumIII/Celeron
デュアル動作
対応メモリ種類 SDRAM/VC-SDRAM/EDO-DRAM
対応メモリ速度 PC133
メモリの最大搭載量 2GByte
最大メモリスロット数 4slotで8bankまで
ノースブリッジとサウスブリッジの接続に使用しているバス PCI
AGP 4X
内臓グラフィック -
PCI 32bit/33MHz×4
(サウスブリッジを含めると×5) Ver2.2
(ただし、スレーブ動作に限ったり、追加チップで増やすことは可能。)
IDE UltraATA 66 (VT82C686B を使えば UltraATA 100 にも対応)
USB 2port
付加機能 -

特徴

Apollo Pro 133A は、133MHz の FSB と PC133 SDRAM の対応と AGP 4X 及び UltraATA 66という当時の一通りのトレンドを全てそろえるという最強のチップとして登場しました。Intel のメインストリーム向けのチップセットは失敗続きでi820 は不具合で人気がなく、i815 はハイエンド以上をサポートできず、i440BX は古くて最新のトレンドに対応していませんでした。そのメインストリーム向けのチップセットの穴を埋める形で普及しハイエンドユーザーを中心に広まったのです。

このチップセットは発売当初不具合が多く、PCI やメインメモリの相性問題などが多発しました。しかも、あまり性能がよくなく FSB 133MHzで動作しても FSB 100MHz で動作させた i440BX よりもパフォーマンスが出なかったため酷評を浴びます。ところが、VIA はあきらめずにこのチップの改善を進めてFSB 133MHz 動作ならば FSB 100MHz の i440BX よりもパフォーマンスがでるようになり、不具合も改善されたので徐々に人気がでて結局ヒット商品となりロングセラーになりました。ただし、互換チップセットの宿命でもある相性問題の多さという点では改善されたとはいえIntel 純正よりかは多めのようです。このチップセットで VIA のチップセットは最初はパフォーマンスが出ないが徐々に改善するという評価が得られるようになったのです。

このチップセットの普及に一役買ったのが、Dual CPU です。Intel は Pentium III の後継として Pentium 4 を登場させますが、当初は非常に高価でそれこそPentium III の倍以上という価格で、しかも当時 Pentium 4 には高価な RDRAM が必須で、システム全体で非常に出費がかさんでしまう状態でした。ところが、Pentium4は Pentium III と比べてもそれほど高速ではないという始末でよい評価がされませんでした。

ここで、パワーユーザーが注目したのは、安価になった Pentium III を使って Dual CPU システムを作ることでした。おりしも Windows2000 がリリースされて、ソフトウェア的に Dual CPU システムが使いやすい環境になっていたこともあって多くのパワーユーザーが DualCPU に走りました。

ところが、FSB 133MHz の Pentium III の Dual CPU をサポートする最適な Intel 純正が存在しなかったのです。i820は信頼性がなく、また見かけませんでしたし、i840 は高価でハイエンドユーザーでもなかなか手の出る範囲ではありませんでした。そこで白羽の矢が立ったのがApollo Pro 133A を使った Dual CPU システムで、安価で手軽に Dual CPU が楽しめるということで大ブレークしたのです。Pentium III を使った Dual CPU システムで Apollo Pro 133A を使ったものは今でも稼動しているのをよく見かけます。

Apollo Pro 133A は、サウスブリッジとノースブリッジを PCI で接続します。このため、同様に PCI で接続される 新型のサウスブリッジであるVT 82C686B も採用されこれによって UltraATA100 にも対応しました。

市場は結局 i820 の RDRAM から 133MHz の SDRAM へ流れたのは既知の事実ですが、この先導役になってのもこの ApolloPro 133A に他なりません。このチップが PC133 SDRAM をサポートしたために、市場が SDRAM 続行に流れさらには DDRSDRAM への存続へと繋がっていったのです(それを考えると Intel にとってどれほど憎いチップセットだったか…)。

このチップセットが推進したPC133 への対応は、最終的には Intel も追従する形となっただけでなく、市場が既に Intel の手を離れそれ以外のメーカーでも動かせるということが分かったということにつながりました。(この結果 Intel は VIA を恐れ、Tualatin や Pentium4 の互換チップセットを作るのを快諾しなかったらしい )そういう意味でこのチップセットが市場の流れを変えたといっても過言ではないのではないでしょうか。