AMD-760MP/MPX Chipset

はじめに

AMD-760MP/MPX チップセット は2001年に発売された Athlon のデュアル動作を初めてサポートするチップセットです。

まず、AMD-760MP/760MPX チップセットはサウスブリッジにあたるチップとPCI接続します。AMD-760MP/760MPX チップセットのノーズブリッジは共にAMD-762 で64bit/66MHzのPCIをサポートしますが、PCI バスの仕様上 66MHz をサポートする PCI バスでも 33MHzの PCI 機器が接続されると 33MHzに制限されてしまいます。

ところが、AMD-760MPではサウスブリッジにAMD-760チップセットに使われたサウスブリッジであるAMD-766 が採用されていて、このサウスブリッジは32bit/33MHz仕様なので 760MP では、64bit/33MHz の PCI までしかサポートすることが出来ませんでした。 そこで、サウスブリッジを32bit/66MHz接続をサポートし、32bit/33MHzのPCIブリッジを備える AMD-768 を搭載したのがAMD-760MPX チップセットです。

主な仕様

AMD-760MP

AMD-760MPX

スペック

チップ名 AMD-760MP AMD-760MPX
ノーズブリッジ AMD-762
サウスブリッジ AMD-766 AMD-768
対応CPU Athlon/Duron (基本的には Athorn MP のみ)
デュアル動作
対応メモリ種類 DDR-SDRAM (基本的には Registered DDR-SDRAM のみ)
対応メモリ速度 PC2100/PC1600
メモリの最大搭載量 4GByte
最大メモリスロット数 4slotで8bankまで
ノースブリッジとサウスブリッジの接続に使用しているバス PCI
AGP 4X
内臓グラフィック -
PCI 64bit/33MHz×2
32bit/33MHz×5 Ver2.2
64bit/66MHz×2
32bit/33MHz×8 Ver2.2
IDE UltraATA100
USB USB1.1 4prot
付加機能 -

※ノースブリッジは3本の64bit/66MHzのPCIバスをサポートして、そのうちの1本のPCIバスに接続されるサウスブリッジが5本の32bit/33MhzのPCIバスをサポートするので上の構成になる。

特徴

このチップセットの最大の特徴は、Athlon で初めてデュアル動作を可能とした点です。

Athlon SlotA の途中からすでにデュアル動作を可能としていましたが、デュアル動作をサポートするチップセットが存在しなかったために現在までシングル動作のみとされていました。折りしもライバル会社のIntel では、Pentium III ではデュアル動作をサポートするチップセット i820 が広まらず純正のチップセットが存在しない状態で、Pentium4 ではデュアル動作そのものをサポートしないなどという状態だったために、ハイエンドユーザーの注目を一気に浴びて人気となりました。

基本的にはデュアルシステムというのは本来サーバーやワークステーション向けの製品ですが、これらの分野では安定性がもっとも重視されるために、もともとIntelに比べて安定性の面では劣っているといわれるAthlon を使い、 さらに AMD 初のデュアルシステムということで安定性に関しては未知数だったためにあまり採用されなかったのが実情です。ただし、この点に関して言えばAMD は最初から分かっていたことなのでそれほど問題ではないようで、徐々に最適化を進め枯れたチップとなるのを待つだけという感じです。

AMD-760MP/MPXチップセットは、デュアル動作が注目されましたが実はそれ以外にも Athlon 系で初めて 64bit PCI をサポートした製品です。Intel 系ではi820が失敗したために本来ごく一部のサーバーやワークステーションユーザーしか関係のなかったハズの i840 がハイエンドユーザーに広まってしまったために、すでに64bit/66MHz PCI に対応した初めてのチップセットではなくなってしまっていますが、 i840 よりかは一般のハイエンドユーザー向けに作られたチップセットのようです。

AMD-760MP/MPX で正式にデュアル動作可能な CPU は同時に発表された Athlon MP のみです。これは Palomino/Thoroughbredコアで作られたもので Athlon XP などと同じコアです。 実は、AMD-760MP/MPX はこの Athlon MP 以外にも Thunderbird/Palominoコアの Athlonシリーズでデュアル動作するようなのです。もちろん、正式にサポートされているわけではないのですが実際には動作するようです。(Thoroughbredコアは Athlon MP 以外のコアではデュアル動作できないようになってしまったらしい。)

さらに、Duronでも動作可能ということでローエンド向け CPU でデュアルをするあの Dual Celeron 通称 Duaron ブーム再びか?と思われたのですが、AMDは Athlon の開発が忙しくなってしまったので Duron の開発まで手が回らなくなってしまったようです。 さすがにデュアルといえども遅くては何にもなりませんからね。

初の Athlon 向けデュアル仕様のチップセットで、加えて 64bit/66MHz PCI をサポートするなど革新的な内容になっていますが、これらの機能はサーバー/ワークステーション向けには必要不可欠な機能です。このほかの機能に関しては、保守的な仕様となっていて安定性を重視した設計になっているようです。