はじめに
AMD 750は、AMD Athlon用最初のチップセットとして1999年に登場しました。ノースブリッジの開発コードネームはIrongateでサウスブリッジの開発コードネームはViper。
AMD 750の最大の特徴はAthlonに対応する点で、その他はVIAのApolloPRO 133Aとさほど変わりはなく、保守的な仕様となっていました。AMD750はAthlonを順調にリリースするという目的で市場に投入され、互換チップメーカーからAthlon用の意欲的なチップセットがリリースされたためにその役割を終えることになります。その目的からも比較的短期間な寿命で終わることになりました。
主な仕様
AMD 750
- AMD Athlon に対応。
- FSB 200MHz 対応。(FSB クロックは100MHzでDDR動作)
- メインメモリとして PC100 SDRAM をサポート。
スペック
チップ名 | AMD 750 |
---|---|
ノーズブリッジ | AMD 751 |
サウスブリッジ | AMD 756 |
対応CPU | Athlon |
デュアル動作 | × |
対応メモリ種類 | PC100 SDRAM |
対応メモリ速度 | 800MB/s |
メモリの最大搭載量 | 768MByte |
最大メモリスロット数 | 3slotで6bankまで |
ノースブリッジとサウスブリッジの接続に使用しているバス | PCI |
AGP | 2X |
内臓グラフィック | - |
PCI | 32bit/33MHz×6 Ver2.2 |
IDE | UltraATA 66 |
USB | 4port |
付加機能 | - |
特徴
AMD 750 の特徴はAthlonに対応した初めてのチップセットであるという点を除けば、通常のPentiumII/III用のチップセットとほとんど変わりありませんでした。逆にまったく新たなプロセッサーを利用するために安定性などに問題がでないためにもチップセット事態は保守的にでベーシックなつくりになっています。
AMD 750と他のPentiumII/III用チップセットとの違いは、プロセッサーバスがPentiumII/III用のP6バスからAthlon用のEV6バスに変更されている点でその他に変更点はほとんどありません。
サウスブリッジとノースブリッジはPCIで接続されている為(当時はこれが主流だった)、ApolloKT133Aなどの多機能で定評があったサウスブリッジを採用するとうい例の多数みられました。
発売当時はDuronそのものが存在しなかったためにリストには載っていませんが、その後登場したDuronもサポートしています。FSB266には対応することなく、FSB266対応のAthronにはAMD750の後継のAMD 760がサポートすることになります。
AMDのチップセット戦略はIntelのそれと多少異なります。Intelがチップセットでも利益を得る目的で意欲的な製品を矢次にリリースしているのに対して、AMDは自社のCPUを広めるためにチップセットをリリースしているようです。AMD750は当然Athlonが初めて市場に投入された時に互換チップメーカーから対応チップセットが登場するまでAthlonを利用するためには必用だったから開発したのでしょうし、AMD760はFSB266のAthlonの性能を引き出すことができるチップセットとして必用だと考えたから投入したのでしょう。いずれにせよ、チップセットで利益を得るのではなくてCPUの性能を引き出すのが目的といえるのです。
このため、AMDのチップセットはAMD純正の割りにIntelのようにシェアは低めで製品数もずっと少なめになっています。また、互換チップメーカーが対応製品を開発したらその役割を終えるので市場で高い支持をえることなく姿を消すことが多いようですが、これは性能が悪いからというより単に戦略がIntelとは異なる故のことのようです。