ハードウェアエンコード

はじめに

高級なキャプチャーカードといえばハードウェアエンコーディング方式が定番となっていますが、原理的に考えるとエンコーディング方式がハードウェアかソフトウェアかだけでは差はありません。では、なぜ高級ななキャプチャーカードにはハードウェアエンコーディングが多いのでしょうか?

利点と欠点

動画の編集というのは現在一般的にパソコンの処理の中ではもっとも重たい処理に属します。これを汎用CPUにソフトウェア処理させるとかなり高速なCPUでなければ満足な画質が得られないからです。さらに、リアルタイム処理なので確実性が求められます。なにかの拍子にCPUが他の処理に占有された場合、処理が間に合わなくなってコマ落ちなどが発生してしまうからです。一般的レベルのスペックのパソコンで高画質で確実なエンコードをするにはハードウェアエンコーディングが適しているのです。

また、ソフトウェアエンコーディングの場合はCPUで圧縮処理を行うワケで、未圧縮のデータをメモリやCPUまで転送する必要があります。よって、キャプチャーデバイスは高速なデータ転送ができるPCIがほぼ必須となります。DVDの標準画質である720×480でNTSCの場合は720×480×3×29.97=31072896で未圧縮の状態では最低でも32MB程度は確実に転送する必要があります。USB2.0とIEEEは転送速度の理論値から考えれば可能となるハズですが実際の製品はあまり見かけません。よって、外付けを含めた様々なデバイスがある点も見逃せません。PCIバスに接続するタイプでもPCIバスを占有しないのでPCIに接続された他の機器に影響が少なくパソコン自体の安定性が高くなります。

ハードウェアエンコーダカードは専用のエンコード処理チップが搭載される点で高価です。逆に高価なのでエンコード方式以外でも全体的にしっかりとした作りの製品が多く、ノイズリダクションなども搭載されているものもあります。技術的にも難易度が高いようで、ソフトウェアエンコードカードのようにどこの馬の骨だかわからないようなメーカーの製品が大量に出回ったりもしていません。

ハードウェアキャプチャーカードはエンコード処理がハードウェアで行われるためそのチップの性能に限定されます。よって、対応したエンコード方式が増えたりスペックが変化することはごく少ないでしょう。購入時に対応したエンコードやビットレートなどは充分に確認しておく必要があります。また、ソフトウェアエンコーダよりも相性問題はシビアなようなので購入前に下調べしたほうがよいかと思われます。

また付属の録画ソフトウェア以外での利用ができなかったり、できても機能が著しく制限される場合もあるので付属の録画ソフトもよく吟味しておいた方がいいです。もちろん市販の一般的な録画ソフトでも録画できる方が将来性は高いと思われます。

ポイント

機能 抑えておきたい点
画素数 ・720×480(DVDと同じ)までの画素に対応していること。(704×480までという製品も結構見かけるので注意)
いくつかの画素数で録画できるようになっている方が便利。
ビットレート ・2~10Mbps程度は欲しい。(DVDの規格ではオーディオを含めても10Mbpsまで対応)
できるだけいろいろなビットレートが選べる方が便利。
エンコード方式 ・MPEG2/MPEG1に対応していること。(Mpeg2に対応していてもMpeg1には対応していないものもある。ソフトウェアはまだMpeg1向けの方が充実しているのでMpeg1に対応してる方が便利。)
ソフトウェア ・ハードウェアとはいえ操作ソフトが実に重要。
将来性が高いこと。(ちゃんと更新されているか?将来のOSにも対応するか?)
操作のレスポンスは素早いか?
設定は細かくできるか?
予約やタイムシフトの機能は充実しているか?